コーティングの基本となる1、2の下地処理に加えて、美観を追求するためにはさらなる肌調整が必要となってきます。この工程を省けば仕上がり時間も早くコストも抑えることができるのですが、やはり、コーティングの醍醐味である究極の艶は押さえておきたいところです。
気にすべきポイントは
【1.バフ目を一切残さないこと】
【2.仕上がり面の滑らかさ】
【3.塗膜の研磨量】
です。
当工房では基本的に殆どの下地処理はシングルアクションポリッシャとギアアクションやランダムアクションポリッシャとの組み合わせで行っています。使用するバフは羊毛や通常ウレタン、低反発ウレタン等があり、その目の細かさも中目〜超微粒子目まで多彩です。コンパウンドも様々な番手だけでなく、使用中に最初は数十ミクロンという大きさの粒子が最後には千倍も細かい数十ナノメートルサイズにまで自己粉砕し最新の硬いセラミクスクリアー塗装でも白ボケせず美しい艶を引き出せるようなものも使用します。このようにポリッシャ、バフ、コンパウンドの組み合わせは膨大です。これをパネル毎に細かく、約20〜30センチ四方づつ仕上げていき下地を完成させるのです。これには時間と手間がかかりますが、やはり当工房として妥協できない部分であります。特に最後に超薄膜のため肌の誤魔化しのきかないグラスコートを施工するのであれば尚更です。
シングルアクションで丁寧に塗肌の滑らかさを造り出し、ギアアクションでバフ目やオーロラマークを消すと同時に最終仕上げの艶を引き出していきます。この工程では特殊照明も欠かせない設備の一つです。特殊照明があるおかげで、細かな極薄いキズやバフ目も残さないよう肌調整が可能なのです。
しかしながら、ただ削ってパッと見綺麗にするだけでなく、もっとも大事なポイントは、いかにオリジナルの塗膜の研磨量を少なく抑えつつ艶を引き上げるかなのです。私のお薦めは、新車のライン塗装表面の大きな凹凸=ピール肌はそのまま活かしつつ、艶を左右するサブミクロンオーダーのごく細かな凹凸を平らに均して、揺らぎのあるキラキラとした艶を演出することです。例えて言うなら静かな湖の水面のキラキラした輝きです。表面にたくさんの小波が立っているから美しく輝くのです。ダイヤモンドなど宝石のカットも似た理屈です。クルマの塗装面をこのように仕上げるのは結構難易度高いです。
よく鏡面研磨という表現を使いますが、コーティング業者によってその定義は異なるようです。私の解釈では、本当の鏡面に磨き上げ、全く凹凸=ピール肌のない状態にしてしまったらクルマの美観という観点からは、あまり美しくありません。それはのっぺりした光り方だからです。言い換えれば、カット面が一面しかないダイヤモンドみたいなものです。ダイヤモンドが美しいのは多面カットで、角度を変えることによって次々と沢山の光の粒がキラキラと目に飛び込んでくるからなのです。
クルマの塗装も同じだと思います。当工房はClass-1,2はもちろんのことClass-3の鏡面仕上げでも研磨量は必要最小限にとどめています。その結果凹凸のピール肌を残しながらもキラキラ感の強い輝きを放つのが特徴です。当工房だけの用語でジュエルライク・カット・フィニッシュと呼んでいます。
また、削り過ぎは、塗装の健全性の観点からも好ましくありません。設備を持ったプロであれば、塗装をガンガン削ることくらい朝飯前です。たまに、塗膜の厚みは100ミクロン位あるから2〜3割くらいは削っても大丈夫などと言っている業者があります。これはあまりに無知で無責任な考え方だと思います。色が残っていればいいなんて考えは特に現代の高品位塗装においてはあり得ないと思います。
最近のクルマは色んな表情を作り出すために何層ものマルチコートになっています。例えば一部の高級車などはカチオン電着層の上に中間層の黒/クリア/キメの大きなパール/クリア/キメの細かなマイカ/若干色の入ったクリア/トップコートクリア等という構造になっています。中間の黒とトップコート以外は各々数ミクロン程度しかありません。これは何を物語っているか?黒より上の層で色んな表情や質感・奥行き感・重厚感・等々を複雑に演出しているのです。(まあ、おかげでドア一枚ぶつけただけでサイド全面塗装などという厄介な問題も出てきているようですが)こんな塗装を何十ミクロンも削るという考え方がおかしいと思います。オリジナルの塗装はできるだけ大事にしたいものです。クルマの塗装というのはトップコートであるクリア層はわずか10〜20ミクロン位しかないのです。しかもそのごく表面の数ミクロン(一般的に5〜7ミクロン程度)は140〜160℃で焼き付けられ、硬く耐久性のある非常に丈夫な層になっているのです。ホーロー層と呼ぶこともあります。この層を削ってしまうと塗装は弱く寿命も短くなってしまうのです。これは一般的なコピー用紙の厚みが80〜100ミクロンであることを考えれば、非常に薄く、削りしろなんて殆ど無いようなものなんです。このことを理解している業者はどれだけいるのでしょう?
したがって、肌調整は1.クリーニング、2.足付け、3.ダメージやキズの処理、4.仕上げ艶出しまで含めても、コンディションの悪い車でも3〜5ミクロンの研磨量に抑えたいものです。通常、コーティングを依頼されるようなオーナーさんの車であれば、一部の傷を除けば、1〜2ミクロン前後で十分綺麗になりますし、ずば抜けた艶にこだわらず、普通にきれいな艶があれば十分という方ならば、1ミクロン前後で十分つやつや美しくなります。また、木の枝や、洋服のファスナー等の固い素材で傷を付けてしまったような(どんな角度・どんな光線の元でも容易に確認できる、または、水をかけても見えるようなレベルの)深いキズは通常5〜10ミクロン近い深さがあります。これを削って消すことは不可能ではないのですが、健全な塗膜を維持したい、または、長く愛車に乗りたいとお考えであるなら、私はお勧めいたしません。しかし、目立たないよう処置する独自のテクニックはあるので、そういった悩みがある場合は遠慮なくご相談ください。
以上述べたように少量の研磨量で艶を引き上げるのは簡単な作業ではありませんが、私は日々そんなことを考えながらクルマ磨きをやっております。繰り返しになりますが、当工房は鏡面仕上げでも研磨量は必要最小限にとどめ、凹凸のピール肌を残しながらもキラキラ感の強い輝きを放つ事ができます。まだまだ勉強することもたくさんありますが、『これでよし』という領域はないのではないか?と最近思います。プロの腕の見せ所とも言えますが、そういう観点からコーティング店を選ばれると良いと思います。遠方の方には、ホンの一部ですが信頼できる専門店もご紹介できます。遠慮なくお問い合わせください。
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